簡易型プログラマブル電源の製作 2004年7月20日 7N3TFI 山村賢二 |
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プログラマブル電源とは、予めプログラムされたデータから、任意の電圧を自動的に出力させる電源装置です。 プロ用の装置では、数十万〜数百万程するようですが、個人ユースでは、高値の花です。 そこで、パソコンと繋いで簡単なソフトで動かせ、しかも安価に作れる簡易型のプログラマブル電源(以下Programmable Power Supply=PPSと呼ぶ)を作りましたのでご紹介します。 市販の高級機とは比較になりませんが、 パソコンで、設定した電圧を自由に出力させることで、自動計測など応用範囲は広いと思います。
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電圧設定のコントロールにはパソコンのパラレルポートを利用して、パソコンから指定した電圧を出力させます。 最大出力は300mAで、0V〜10Vまでの電圧を256ステップのデータで設定します。 分解能としては、1ステップが理論上では0.04Vとなりますが、実際には、抵抗や回路の誤差により、多少前後しますので実用上は0.1V程度のステップ精度とみなしてください。 |
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【PPS基板表側】 |
回路構成 8BitのD/Aコンバータと、データタッチIC、電流増幅用OP−AMP、パワーTrをDサブコネクターBOX内に詰め込み、ノートPCなどで持ち運びに便利なアダプター形式にしました。 試作段階では、秋月電子通商で販売されています、Dサブ25Pinのユニバーサル基板で製作しましたが、量産化の話があり、両面スルーホール基板を起しました。 OP-AMPには、単一電源で使用でき、かつ動作範囲範囲がVDDまで使えることから、レールTOレールのOP-AMP(LMC662CN)を使用しました。 デジタル値0〜255まで変化させた時のOP-AMP出力電圧値を調査しましたが、非常に正確な直線値となりました。 |
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【PPS基板裏面】 |
動作説明 PCから設定電圧データ(8Bitデータ)を74HC541(8Bitラッチ)を通して、データ保存、電流バッファ、及びPC側への逆流破損防止のために使用します。 データのラッチON/OFFには「-BUSY」端子を使い、データセット後にBusy端子をHi⇒Lo⇒Hiにします。 ラッチされたデータはその先のR−2Rの抵抗分圧による88Bi-D/Aコンバータを構成し、設定電圧を出力します。 この時の電圧出力範囲は74HC541のLo・Hiの電圧に依存しますので理論的には約0〜5Vの範囲となる筈ですが、実際にはICや抵抗等からの漏れ電流等でこれより若干狭くなります。 出力される電圧の安定度はICへ供給している電圧で決まります。 |
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今回は、外部ACアダプターの電源から3端子レギュレータIC(78L05)で5Vを作りこれを供給します。 このままここに負荷を繋いでも流れる電流が低すぎて使い物になりませんので、OP−AMPを入れて電流増幅し、更にパワーTrで電流をMax300mA程度流せるように電流増幅します。 熱暴走及び、出力負荷変動に対しても、出力電圧を一定に保つようにOP-AMPに出力電圧のフィードバックを掛け、ループバックさせています。 このループバック抵抗の分圧比を1:2にすることで、出力電圧は2倍の0V〜10Vになるようにしました。 更に高電流を流したい場合には、出力側コネクターに外付けTrを取り付けられるよう、接続用信号線を出力させています。 パワーTr出力には、ブリーダ-抵抗として1kΩを通して常時微弱電流を流し、出力電圧の安定性と電圧再設定時に出力側の平滑コンデンサの蓄電を早く放電させる為にとり付けてあります。 これもジャンパー線で要・不の選択ができるようにしました。 |
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使用部品 使用する殆どの部品は秋葉原で購入できます。 特殊な部品は使用しておりませんがスペースの関係でプルアップ抵抗に8列のモジュール抵抗を使用しました。 また、量産用に両面スルーホールのプリント基板メーカに製作を依頼しました。 入出力にはDサブ25Pinコネクターを使用して、25Pinケース内に入るよう、基板の厚さは1.6mmにし、Trなどは部品の高さを限界まで折り曲げて実装しましたので、ケース内はかなりギシギシ状態です。 |
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I/Oドラーバー このアダプターを使用するにはパソコンのプリンターポートをコントロールする必要があります。 古くは、トラ技の16Bit系IOコントロールのDLLがありますが、最近のWindows2000系の32Bit-OSでは使用できないのでフリーで出ているIOポートコントローラ”DLPortIO.DLL”を使用させて頂きました。 ドライバーはここからダウンロードできます。 http://www.driverlinx.com/←リンク切れ |
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簡単な動作確認用ソフト このアダプターは動作に必用なアプリケーションがなければ何も動きません。 指定した電圧を256種類のデータから一番近い値を読み出して出力される簡単なソフトを作ってみました。 インストーラでプログラムをインストール後にアダプターをパソコンのプリンターポートへ接続し、 PPS.EXEを実行させてください。 |
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操作説明 |
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パラレルポートに本アダプターを接続し、ACアダプターを繋ぎます。 プログラムを起動させると、図のようなフォームが表示されます。 初めに、パラレルポートアドレス(Port_Adr.)をご自分のPCのアドレスに合わせてください。 併せて秋月電子通商で販売されているWins社製デジタルマルチメータ(Wins-20T)をお持ちの方は、COM_No.をWins2-Tの接続するポートNOに合わせてください。 お持ちでない方は、デフォルトのままでOKです。 |
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パラレルポートアドレスを調べる方法は、コントロールパネルの中にあるシステムから、デバイスマネージャーを選択し、LPT1ポートアドレスの開始アドレスで確認できます。 通常DOS/V機では、”&h378”が多いようです。 |
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まず初めに「OUTPUT」ボタンを押してONにします。 この状態で、アダプターに付いているLEDが点灯することを確認してください。 ボタンを押す毎にON/OFFとなり、LEDが点灯/消灯すれば、PCとアダプターとの通信はOKです。 次に実際に電圧を出力させて見ます。 ・
設定電圧のところに、0〜10Vまでの任意の電圧を入力し、その隣の出力ボタンを押します。 ・
アダプターの出力にテスターを繋いで、設定電圧値が出力されれば、動作OKです。 任意の電圧を色々と替えてみてください。 DATA値のところは、設定した電圧に一番近い0〜255までのデジタル値を表示します。 DATA値を0〜255までの値を入力し、隣の出力ボタンを押すと、逆にその時の設定電圧値が表示されます。 |
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自動校正 出力させる電圧値の校正には、基準となるデジタルテスタが必用です。 私は、先にご紹介しました、Wins-20Tを使い、0〜255までを1ステップ毎に設定し、そのときの電圧値をテスターのRSポートから読み取り、読み取った値をAdjData.mdb内の“DV変換テーブル”保存させるようにします。 設定してから電圧が安定するまで時間が掛かるので1ステップに、約1秒のウエイトを掛けて、読み取り、書き込みを繰り返します。 256全てのデータが読み終わると、自動的に終了します。 もし、手動でデータを設定する場合には、この“DV変換テーブル”のVOLT値を手入力するしかありません。 また、自動校正をスタートさせてしまうと,デフォルト値として予め入れておいたテーブルデータが全て消去されてしまいますので、ご注意ください。 間違って消してしまったら、もう一度インストールし直してください。 |