はじめに

何年も前にアイテンドで買った海外向けDTVチューナを引っ張りだして来た。 昔使っていたスマホではホストモードが無い為ドライバが認識せず使えなかったが、今の機種ではタブレットと同じように外部機器を認識するので試してみたところ簡単に認識し動作した。 スマホで使えるとなると機動性が向上し、色々とアイデアも膨らむ。 そこで手始めにHF受信機としてコンバーターとアンテナチューナを作ってみた。

回路構成

当所はアナログ受信機で使うコンバーターのように狭帯域増幅に正弦波発振でと、実験してみたが、複雑な割りに感度は今ひとつだった。 結局、先人の製作例参考に、オーソドックスな回路構成となった。

USBドングル単体での下限周波数を測ったところでは個体差もあるようだが大体23MHz付近が限界のようである。 中波帯域まで伸ばすには、30MHz以上の局発が用意できれば良さそうである。 水晶発振器を作っても良いが、簡単に済ませる為、手持ちの48MHz方形波発振モジュールを使用する。 ミキサーは、その昔、秋月電子で購入したMT55と書かれた4PinでCAN タイプの小型バラモジを使った。 データシートを紛失してしまい、詳細不明だが確か1.5GHz付近まで使用可能だったと思う。 実験では、自作ダイオードミキサより変換効率とキャリア漏れも少なくFBであった。 アンテナ入力段にはfc30MHzの7段チェビシェフLPFを入れた。 トロイダルコアはt50-6に0.3mmのポリウレタン線を10t程巻いた。インダクタンスはいずれも0.4uHである。

トラジェネが無いのでザックリではあるがSGとスペアナで信号の減衰特性を見たところ25MHzを越えた辺りから減衰し40MHzを越える辺りでは、粗ノイズレベルとなった。 実際に受信してみるとフイルタの有無で、SNは格段に変化する。 SGで変調波の聞こえる限界値を調べたところ-90~100dbm付近で、少し弱い。 そこで変換ロス分を補う為に広帯域アンプ(upc1611)をフイルター前後に入れてみたがノイズが増えるだけで感度は然して変わらないので外した。 同調回路の必要性を感じたが、予定したケースに収まらず別に作ることにした。

2回路のシーソーSWは発振モジュールとアンテナ信号の切り替えを行っている。 コンバーターとスルーは30MHz付近で切り替えるようにしたがアプリ側でコンバート後の周波数表示をさせる為には-48.0MHzのキャリア分のOffsetをセットする必要がある。 その為、コンバータオフ時はOffset値を0に戻さなければならず、面倒である。 簡単にするにはオフセットを設定しなくても簡単に計算出来るような周波数50MHzか100MHzを使うしかない。

組み立て

簡単な回路なので基板をPカッターで削りANT→LPF→DBM←OSC=IF出力にはUSBドングルもケースを外して一緒に実装した。 電源はスマホからの5vで全て賄えるのでスマホと本機だけでMW~UHFまでの受信機可能である。 ケースはタカチ製のプラケースで、内側に銅テープでシールド効果を高めてみた。 HF帯のモニターに使おうと考えていたが、簡単な送信機を作ればSOTA用無線機としてもFBかも知れない。

アプリ

スマホ側のアプリはSDR Tutch以外に選択の余地は無いようである。 お試し版では30秒でSpectrum表示が消えてしまうが決まったら周波数を聞く分には問題ない。 私は完成後にSDR Tutch Keyを入手して使っているが、慣れるとノイズスペクトラムと電波信号とを区別出来るのでやはり便利である。

ケーブル

ドングル側に付いていたUSBコネクタは外し、代わりにUSBケーブルを直接基板から繋いだ。 スマホとのUSBケーブルは、昔買った中華パットに付属していたもので正式名称はわからないがサイトを見ると「 USB OTG Cable, Micro USB to USB Ada pter」と書かれている。 使用中に抜けるとドライバーが検出出来なくなるだけではなくスマホがダンマリとなる。こうなると電源キーを長押しして再起動しないと復帰しなくなるので注意が必要だ。

使用感

電池消耗が非常に早いので、USBコネクタの間に100均で買ったUSB HUBを改造して5VのACアダプタを繋いで外部電源化したがスマホ側はホストモードで動いている為か充電モードにならない。 しかし消費の激しいドングルとコンバータ発信機の消費を賄えるので長時間使用時には有用である。

2階のベランダから5m程の電線を垂らして受信してみた。 アンテナが同調していない為弱々しいが一応3.5MHz~21MHz迄受信できた。

短波放送は、DSPラジオと同じアンテナで同時受信させててみた。 粗同じような感度だが、聴き易さは(特に激しいフ ェージング中も)本機の方が安定した音量、音質で受信出来、音質も大変良い。 中波帯は、0Hzに強力なャリアがあるので1MHz以下を受信中このキャリアに被り、信号がマスクされてしまうことがある。 この場合一度周波数を数MHz上の方へアップさせてから再度戻してやると復帰する。一応受信出来るが、かなり弱い。

アンテナカプラ

受信感度が今一つなのと、スプリアスもバンド内に結構多く発生しているで急遽アンテナカプラを追加作成した。 ケースはCM先で拾ったUSB切替機4連スイッチが切替に丁度良さそうなので、基板・スイッチ・ケースと共にそのまま流用した。 AM用ポリバリ2ケとトロイダルコアによるπ型チューナである。 LPFと同じT50-6に0.2φのEC線を巻けるだけ巻いて、何とか900KHz付近まで同調出来たが、600KHz付近までは同調出来ないのでSWを追加しバリコンに100PFを同調Cを追加して何とか700KHz付近までは同調出来るようになった。 完璧ではないが東京NHK第一(594KHz)付近も良く聞こえるようになったので良しとした。 バリコンにCを追加すると同調範囲が狭くなってしまうので巻数を増やすかLを追加する他ない。

いい加減に作ったカプラではあるが、効果は絶大で、特にノイズに隠れているような信号も、同調を取ると"ググッ!"とレベルが上がって来る。スペアナ表示で同調ポイントが良く判るのでSDRとの相性は良い。

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