発行:2015/2/23

MT管で作る

5FMチューナの製作

真空管でFM放送を聴こう

序論

2013年のHam Fair6SK7(VHF帯まで増幅してくれる5極管)を@50円で何本か買った。

残りの部品はJUNK箱を探し一度は作ってみたいと思っていたFMチューナに挑戦した。

また、2015年秋から始まるAM放送局のFM同時送信も受信したく、周波数範囲は108MHzまでのワイドを狙うことにした。

古い雑誌の製作記事等を参考にした最終構成は、以下のとおりある。

【図1 真空管FMチューナ ブロック図】

 

回路構成

ANTから入った信号は、FMラジオのチューナ基板に付いていた、セラミック・フイルタ(3本足のBPF)を使いイメージ妨害を抑制した後

6SK7で高周波1段増幅する。混合と局発は6AQ8(VHF帯まで使える複合3局管)1本で行う。

ANTコイルと発振コイルは、これもFMトランジスタラジオ用のコア入りボビン(シールドなし)ANTコイルを使用しました。

バリコンはポリバリでは、B電圧でリークする恐れがあるので、トランジスタ式のFMチューナ用と思われる20PF3連(1連は使用せず)のミゼット形バリコンを使用した。

尚、回路簡素化の為AFCは付けていない。

IF10.7MHz6BE62段増幅後6AL5(複合2極管)によりレシオ検波出力する。

 

使用部品

IFトランスはFMトランジスタラジオ用の青コア(又は橙コアで、中間タップ無し)2次側同士を2ケ繋ぎ、これを2組組んで使用した。

また、初段のIFTにはこれもFMトランジスタラジオ用のセラミックフイルタ(CFU10.7M)を入れところ、異常発振もなく非常に安定した作動をしてくれている。

検波用コイルは、コア入りベークボビンに手巻きしてみましたが音が悪く、安定性も悪かった。

そこでIFTを分解して巻き線を解き、中点タップを付けてから再度組み立てたものを使用した。

 

電源トランスは、40数年程前に購入した並四トランスが転がっていたので使ってみた。

結果からすると、電流が足りない。特にB電源の容量がトランスの定格(35mA)を超えており、B電圧が230Vから徐々に180V迄低下してしまう。

ヒータ電圧も6.3Vから5V近くまで降下してしまう。なにより長時間受信しているとトランスが触れないほどに熱くなる。

代用のトランスが手元に無いので、今のところこのまま使用している。

もし、新規に購入するのであれば、5級スーパ用のもう1ランク上の50mA以上取れるトランスを購入すると良いであろう。

 

【調整】

局発はUSBLSBどちらでも構わないが少しでも周波数が低い方が安定度の面で有利と思いLSBとした。

注意:USBとした場合は、バリコンの羽が出て来る方向で局発の周波数は上がり、受信する周波数は下がる方向となりチューニング方向が逆になる。

よって、IF10.7MHhzを引いた周波数が求める局発となる。(受信周波数76Mhz-108MHzとした時、局発は65.3MHz97.3MHz

スペアナで発振周波数を確認したところ可変範囲が広すぎてしまう。

当初はこのまま使用してみたが、周波数ズレが酷く、受信中に何度も再チューニングしなければならない状態であった。

そこで局発側バリコンのハネを1枚抜いたところ、上下の周波数範囲がかなり狭まり、大分安定しチューニングも楽になった。

 

次にSG10.7MHzIF段に入れてIFTコアを廻し、信号が最大となるように調整した。

最後SGでセンタ(85MHz)付近でFM変調した信号を入れ感度が最大となるように、ANTコイルを調整した。

アンテナとラインアンプを付けて、実際の放送波を受信して最終調整した。

 

使用感

私の住んでいる東京西郊外(立川市)では2m程のビニール線アンテナで、NACK5FM東京、J-WaveNHK-FMFM横浜...等

市販のFMラジオで聞こえる放送と同等の感度で受信することが出来、まずまずである。

検波出力は、ハイゲインで、そのままAFアンプに繋ぐと、入力レベルが大き過ぎ、歪んでしまうので300Ωの抵抗を付けて音量を下げた。

AFCを付けるとなると、球がもう1球必要となるので暫くこのまま使用することにする。ラジオとしての実用性はまずまずである。

トランスを載せ替えるのであれば6AR5等でAFアンプを内蔵させFMラジオとしえ纏めた方が良さそうである。

AM放送のFM同時放送のテスト放送が待ち遠しい。

 

【回路図】

【真空管FMチューナ回路図】

 

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